自社のネットショップで売れている商品を、ふるさと納税の返礼品にも出したい。そう考えたとき、最初につまずきやすいのが写真と説明文です。自社ECのページをそのまま写すと、返礼品のページでは使えない言葉が混ざります。2026年10月1日からは、加工品の返礼品について、作る事業者が証明書を出す決まりも始まります。
直す順番は、次のとおりです。
- 返礼品ページで使えない言葉を外す
- 店でやっている工程を書き出す
- 写真をそろえる
- 説明文を組み立てる
- 12月に間に合うように出す
この記事は、総務省の告示・Q&A・通知と、返礼品を募集している自治体のページ(いずれも2026年9月23日に確認)をもとにしています。返礼品のページの作り方は自治体によって違います。事業者に写真と文言を出すよう求める自治体があり、ポータルサイトの制作などを外部に委託している自治体もあります。どちらの場合でも、下の1〜4の材料を持っているのは店の側です。

1. 返礼品ページで使えない言葉
総務省のQ&Aは、寄付する人が寄付先を正しく選ぶのを妨げる表現の例として、次の言葉を挙げています。
「お得」「コスパ(コストパフォーマンス)最強」「ドカ盛り」「圧倒的なボリューム」「おまけ付き」「セール」「買う」「購入」「還元」
キャンペーンのように、ふだんより少ない寄付額にする、個数を増やす、と書き添えることも同じ扱いです。さらに2026年8月20日の総務省の通知では、ポータルサイトで「コスパ」「特別寄附額」「特別規格」「家計応援」「物価高応援」といった、割安だと思わせる表現が見られるとして、基準に違反するおそれが高いと書いています。先々の値上げを予告して寄付を募るのも同様です。
通知には、もう1つ大事な一文があります。外部の事業者がポータルサイトにこうした表現を載せた場合でも、指定を取り消される対象は自治体です。店のページの一言が、自治体の指定に関わるということです。自治体は、すでに載っている返礼品についても確認するよう求められています。
自社ECでよく使う言い回しを、返礼品ページ向けに直すと、たとえば次のようになります。
| 自社ECでよく見る言い回し | 返礼品ページで困る理由 | 直し方の例 |
|---|---|---|
| お買い得セット、コスパ抜群 | 「お得」「コスパ」が例示にある | 量と中身を数字で書く(例 200g×3袋、4人で2回ほど) |
| ご購入はこちら、今すぐ買う | 「購入」「買う」が例示にある | 申し込みの操作はポータル側に任せ、本文には届く内容だけを書く |
| 期間限定セール、今だけ増量 | 「セール」や個数の増量の併記にあたる | 載せない。季節の品なら、届く時期を書く |
| ポイント還元、物価高応援 | 「還元」「物価高応援」が例示や通知にある | 載せない |
右の列の直し方は、あさぎの案です。総務省が示した言い換えではありません。通知は、特定の言葉を使っていないかだけでなく、表現全体を見て判断すると書いています。表の言葉を外したうえで、全体が「安さ」で引っぱる文になっていないかを読み直します。
2. 店でやっている工程を書き出す
地元で加工した品を返礼品にするには、以前から、地域の中の工程で相応の価値が生まれていることが条件でした。2026年9月までのQ&Aでも、地域の中で行った工程の詳しい中身を、ポータルサイトなどに書くよう求めています。
2026年10月1日から変わるのは、その確かめ方です。
- 作る事業者が、証明書を出します。地域の中の工程で、価値の何%が生まれたかを書きます
- 計算は、原則として値段で行います。総務省の示す式は「(自治体の調達費用 − 地域の外で生じた費用)÷ 自治体の調達費用」で、これが0.5を超えている(価値の半分を超える)ことを証明します。ほかの計算方法を使うときは、その理由と中身を書きます
- 証明書には、製造や加工をした市区町村と、一般販売価格も書きます
- 自治体は、募集を始める日までに、その内容を一覧にしてウェブサイトで公表します
一般販売価格の例として、総務省のQ&Aは「同一商品を店頭・ECサイト等で一般消費者に販売する場合の過去1年間の平均的な価格」を挙げています。自社ECで同じ商品を売っているなら、その値段が見られる、と考えておくのが安全です。
工程として認められない作業の例も、Q&Aに並んでいます。単に切る、選り分ける、箱や瓶に詰める、ラベルを貼る、単に混ぜる、セットにする、といった作業です。反対に、地域の外で採れた原料を使っていても、地域の中で加工から品質の管理までを一手に行い、自社の製品として売っているものは、認められる例に入っています。
説明文に書く前に、まず店の中で次の3つを書き出しておきます。
- 原料はどこから来て、店では何をしているか(煮る、焼く、漬ける、熟成させる、手で仕上げる など)
- その作業は、どの市区町村の、どこで行っているか
- 自社ECと店頭での、その商品のふだんの値段
この3つがそろっていれば、証明書の相談と説明文の両方に、そのまま使えます。
3. 写真をそろえる
返礼品を募集している自治体のページを見ると、求める写真がはっきり書かれていることがあります。たとえば福井市は、申し込みのときに次の3種類の画像を求めています(2026年5月22日更新のページ)。
- 商品の写真
- 荷姿の写真(届くときの箱や袋の状態)
- 食品の場合は、食品表示法にもとづく表示の写真
荷姿や食品表示の写真まで自社ECに載せている店は、多くないはずです。届くときの箱や袋の状態と、表示のラベルの2枚は、撮り足すことになりやすい、というのがあさぎの見立てです。
もう1つ、2で書き出した工程の写真があると、説明文と組み合わせて使えます。店の中で手をかけている場面が1枚あると、地域の中で作っていることが文字だけより伝わります。短い動画の撮り方は、店のリール動画の撮り方に書いています。
写真の大きさや枚数、文字を入れてよいかは、ポータルサイトや自治体によって決まりが違うことがあります。撮る前に、自治体か委託先に確かめてください。
4. 説明文を組み立てる
返礼品の説明文は、次の順に並べると、読む人が迷いにくくなります。
- 誰が作っているか(店の名前、創業の年、作っている人)
- どこで、どの工程を店でやっているか(2で書き出したもの)
- 届くもの(量、個数、箱の中身)
- 日持ちと保存の方法
- 届く時期(申し込みから何日ほどか、季節の品なら何月か)
自社ECの説明文との違いは、3〜5の比重です。寄付する人は、商品を手に取れないまま、ほかの地域の返礼品と見比べて選びます。量や日持ちが書かれていないと、比べる材料が無いので、候補から外されやすくなります。
1と2は、店の人にとっては当たり前すぎて、書き忘れやすい部分です。何十年も続けている作り方ほど、外から見ると選ぶ理由になります。1章の言葉の決まりを守りながら、安さの代わりに、作り方と中身で選んでもらう文にします。
5. 12月に間に合うように出す
ふるさと納税の控除は、1月1日から12月31日までの寄付を、その年の分として数えます。そのため、寄付する人は年末までに寄付先を決めようとします。返礼品のページは、その前に載っている必要があります。
ただ、申し込んでからページに載るまでには時間がかかります。横浜市の募集ページには、返礼品の提供を始めるまでに大幅な時間がかかる場合があると書かれています。すでに載っている返礼品の値段を変えるときも、公開したい月の前月15日までに申請し、公開は原則として毎月1日から、という決まりです(2026年9月16日更新のページ)。
自治体ごとに手順は違いますが、12月に間に合わせたいなら、10月のうちに次のことを済ませておくと安全です。
- 出したい自治体の募集ページを読み、受付の時期と必要な書類を確かめる
- 2の工程と値段を書き出し、証明書が要るかを自治体に聞く
- 荷姿と表示の写真を撮り足す
- 12月に出せる数の上限を決めておく(店頭と自社ECの年末の注文と重なるため)
すでに返礼品を出している店は、いま載っているページの言葉を1章の表で読み直すところから始めてください。
あさぎの場合
あさぎは、月10時間・5万円から(税別)で受けています。返礼品のページでは、10時間の中で次のことに時間を振り分けます。
- 自社ECの説明文を、返礼品ページ向けに書き直す(使えない言葉を外し、店の工程を書き出す)
- 足りない写真の撮り足しと撮影
- 載せたあとの見直し(寄付の入り方を見て、写真や文を差し替える相談)
あさぎも、支援先で返礼品を出す相談に乗り、ページの写真を撮って選び、説明文を書いたことがあります。自治体への申し込みの書類や、証明書そのものは店の側で出していただきます。
頼み方は3つあります
返礼品のページは、あさぎに頼む以外に、自分たちで進める方法や、専門の会社に頼む方法でも形にできます。比べると次のとおりです。
| あさぎに頼む | 自力で進める(AIも使って) | 専門の会社に頼む | |
|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 自社ECの文と写真はあるが、返礼品向けに直す手が足りない | 担当の時間を、週に数時間は取れる | 撮影や原稿を、商品数が多くてもまとめて任せたい |
| よいところ | 書き直し、撮影、載せたあとの見直しを10時間の中で振り分ける。店の工程を聞き取って文にする | 費用がいちばん小さい。AIに1章の言葉の一覧を渡すと、下書きの点検が速くなる | 撮影の機材と人数があり、多くの商品を短い期間でそろえられる |
| 気をつけること | 引き受けられる件数に限りがある。撮影に毎回うかがえるとは限らない | AIは、最新の通知を知らないことがある。使えない言葉の一覧は自分で渡し、最後は人が読む | 商品を送って撮るプランでは、店の中の工程は写らない。説明文だけを頼める公開料金や、事業者向けの運用代行の公開料金は見つからなかった(見積もりになる) |
| 費用の目安 | 月10時間・5万円から(税別) | 道具代は月0円から数千円(Claude Proは月20ドル・税別、Canva Proは年11,800円)。いちばん大きいのは担当する人の時間 | 撮影は1カット1,500円〜5,000円ほど。返礼品向けに1商品6カット3,000円(冷凍・冷蔵品は6,000円)の会社もある。撮影込みの商品ページ制作は1商品8,800円〜1万円ほど。最低の注文額(2万円など)がつく会社もある |
専門の会社の費用は、料金を公開している会社の料金ページ(2026年9月23日に確認)から、同じ種類のサービスで公開されているプランを並べた幅です。商品ページ制作の料金は、ネットショップ向けのものです。税の扱いは会社によって違い、書いていない会社もあります。含まれるカット数や作業も、会社ごとに違います。道具代は各サービスの公式の料金ページによります。
よくある質問
返礼品に出すには、どこに申し込みますか
基本は、商品を作っている市区町村です。福井市や横浜市のように、ウェブサイトに返礼品の募集ページを置いている自治体があります。受付の時期や、地場産品の基準に合うかの確かめ方は自治体ごとに違うので、まず募集ページを読んでください。
ポータルサイトの手数料は、店が払いますか
自治体によって違います。たとえば福井市は、ポータルサイトへの掲載手数料と送料を市が負担すると書いています。申し込む前に、店が負担する費用があるかを募集ページで確かめてください。
自治体が文章を作ってくれるなら、店は何もしなくてよいですか
文章を自治体や委託先が整える場合でも、材料は店から出すことになります。どこでどの工程をしているか、量と日持ち、届く時期は、店にしか分かりません。2026年10月からの証明書も、作る事業者が出すものです。
同じ商品を、ほかの市の返礼品にも出せますか
2の加工品として出す場合、2026年10月からの証明書の様式には、原則としてほかの自治体の加工品の返礼品としては扱わない、という同意が含まれています。同じ都道府県が扱う場合など、例外もあります。出したい自治体に、先に確かめてください。
10月より前に載せたページは、そのままでよいですか
総務省は、すでに載っている返礼品についても、表現を確認するよう自治体に求めています。1章の言葉が残っていないか、まず読み直してください。証明書を出し直す必要があるかは、自治体によって扱いが違う可能性があるため、確認が必要です。
返礼品の値段は、自社ECの値段と関係がありますか
返礼品の調達にかかる費用は、寄付1件ごとに寄付額の3割以下と決まっています。また、証明書には一般販売価格を書き、自治体が公表します。自社ECや店頭の値段と、返礼品の中身の量がつり合っているかは、見比べられるものと考えてください。
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いまの様子を、4つの質問で見立てます
自社の場合はどこから手を付けるとよいか、トップページの簡易診断で見立てられます。4つの質問に答えると、いま近い困りごとと進め方が出てきます。答えはページの中だけで使い、どこにも保存しません。
出典
- 使えない言葉の例、返礼割合、地場産品の工程の考え方、一般販売価格の例は、総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて」(令和8年4月1日 総税市第33号)別紙1・別紙2(2026年9月23日確認)
- 割安だと思わせる表現についての注意は、総務省「ふるさと納税制度における募集適正基準の遵守の徹底について」(令和8年8月20日 総税市第96号)(2026年9月23日確認)
- 2026年10月からの証明書と計算の式は、平成31年総務省告示第179号(令和8年3月31日最終改正・令和8年10月1日適用)第6条第3号と、総務大臣通知(令和8年4月1日 総税市第30号)別添(2026年9月23日確認)
- 控除を1月1日から12月31日の寄付で数えることは、総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」の留意事項(2026年9月23日確認)
- 自治体の例は、福井市「ふるさと納税返礼品を募集します!」(2026年5月22日更新)、横浜市「ふるさと納税 返礼品募集について」(2026年9月16日更新)(いずれも2026年9月23日確認)
- 専門の会社の料金は、各社の公式の料金ページ(2026年9月23日確認)
- 道具代は、各サービスの公式の料金ページ(2026年9月23日確認)