SNSの外注の話は、始めるときの話ばかりになります。何を頼むか、いくらかかるか、どこまで任せるか。やめるときの話は、契約書の端に書かれているくらいで、始める前に話題に上がることは少ないと思います。
ただ、お店にとって大きいのは、やめた翌週です。投稿は誰がするのか、週に何分あれば足りるのか、何はやらなくていいのか。この答えが手元に無いまま外注が終わると、止まったSNSだけが残ります。
この記事では、あさぎが支援した地方の小さな店で、運用の支援を終えるときに、何を片づけて何を手元に残したかを書きます。お店の名前や場所、扱う商品は伏せています。書くのは、あさぎが考えたことと、やったことです。お店に渡したあとの結果は書いていません。
- 終わることになった流れと、そのとき考えたこと
- 型を渡す前に、片づけておいた2つ
- お店の手元に、回せる型を残した
- つまずいたところ
- やめる前に確かめておくとよいこと

1. 終わることになった流れと、そのとき考えたこと
こちらは、支援を続けるつもりでいました。そこへお店のほうから区切りの申し出があり、承諾しました。
どちらかが悪い話ではありません。お店の側の事情は、ここには書きません。
承諾して最初に考えたのは、終わったあとのお店の姿です。外注の終わり方は、始める前から準備しておけるものです。このお店では、2種類の準備を進めました。
1つは、契約が切れても残るものを片づけること。もう1つは、お店が自分たちで回すための型を、手元に残すことです。型を残すほうが大きいと、いまは考えています。片づけは、型を渡す前に済ませておく準備です。
2. 型を渡す前に、片づけておいた2つ
契約が切れても動き続けるものは、止める日を決めた
動いていたのは、お店の外のこちらの側に置いた、お客様向けの自動応答の仕組みです。自動応答は、誰も覚えていなくても動き続けます。商品の情報も、直す人がいなければ古くなっていきます。
期限を切らずに残す案もありました。採らなかったのは、更新されない案内が、お店の名前で出続けるからです。
そこで、止める日を先に決めて、その日に止まる設定にしました。お客様の目に入る案内を外していただく猶予にも日付をつけ、そのあとに仕組みごと削除することも決めています。案内を外す作業はお店にお願いする形にして、どの作業にも、実行する人と日付がつくようにしました。
預けているログインは、お店がパスワードを変えて初めて返したことになる
SNSのアカウントのログインを預かっているときは、返し方に気をつけます。こちらの端末から消しても、パスワードを知っている状態は残ります。しかも、消したことをこちらから示す方法がありません。確実に返せるのは、お店の側でパスワードを変えていただくことです。
このお店でも、こちらの端末から消す日を決め、パスワードの変更をお店にお願いしました。変更のときに一緒に見ていただく点も2つ添えています。いまログインしている場所に、心当たりのない端末が残っていないか。登録されている連絡先が、お店のものになっているか。連絡先が他人のままだと、パスワードを変えても、再発行で入られてしまうからです。
最初から預けない形で始める方法もあります。これから頼む人は、パスワードを渡さずに任せる方法を先に読んでおくと、やめるときに返す手間が小さくなります。
3. お店の手元に、回せる型を残した
外注が終わるとき、お店の手元に残る価値があるのは、納品物より、やめた翌週から自分たちで回せる型だと考えました。
週に1回、15分で回る型
小さな店の手が空くのは、営業の合間です。そこで、続けやすさを最優先にして、週に1回・15分で回る形にしました。増やすより、途切れさせないほうが効くと決めたからです。
毎週やることは、次の3つです。
- 写真を1枚撮る(5分)
- 一言そえて投稿する(5分)
- 新しい口コミに返信する(5分)
写真は1枚で足ります。一言は、うまくまとめようとせず、その日に思ったことをそのまま書くほうが届きます。口コミの返信は、良い口コミにも返します。返信がついている店は、見ている人にきちんとした店に見えるからです。
月に1回は、お客様への一斉の連絡を1通出します。SNSを見ない人にも届く窓口を、1つ残しておくためです。中身は何でもよいことにして、書く内容で悩まないようにしました。
やらなくていいことまで決めた
型には、やることに加えて、やらなくていいことも書き込みました。毎日は投稿しない。凝った加工はしない。反応が薄い週があっても気にしない。この3行です。
やることだけが書いてある紙は、できなかった週に負い目が残ります。やらなくていいことが決まっていると、忙しくて写真を撮れなかった週があっても、型の内側にいられます。1年続くのは、頑張れる型より、休んでも崩れない型だと考えています。
言葉の型も渡した
自動応答に入れていた答え方の型は、仕組みが止まっても残ります。そこで、人の接客や投稿の文章、新しく入った人への説明に使える形にして渡しました。
書く調子は、やわらかく、短く、素直な言い回しにします。そのままお答えしてよいことは、お店のこだわりや基本の案内、一般的な使い方です。いちばん大事なのは、その場で断定せず、確認してからお答えすることの線引きです。在庫や価格の確定、個別の注文がここに入ります。
分からないことは、作って答えません。この1線があるだけで、担当が替わっても、お店の言葉は崩れにくくなります。人に任せたあとに困るのは、調子の違いより、言い切ってはいけないことを言い切ってしまうことだからです。
渡し方は1本にした
型と、止める日と、パスワードの返し方を、1本の資料にまとめました。分けて渡すと、どれも読まれなくなると考えたからです。
資料の冒頭には、終わったあとにこちらから出すものについて、線を引いて書きました。書いてある約束は、誰が、いつ、何をするかの形にそろえています。実行する人のいない約束は、残さないようにしました。
4. つまずいたところ
お客様向けの自動応答は、お店が直せる形にしておけばよかった
商品の情報を更新できたのは、こちらだけでした。そのため、終わりと同時に止めるしかなく、お店の手元で続けるという選び方が残りませんでした。
最初から、お店の方が自分で商品の情報を書き換えられる形にしておけばよかったと思っています。次に同じような仕組みを作るなら、直すのは誰になるのかを、作る前に決めます。
資料は、最初から短く1本にしておけばよかった
お店は忙しく、資料を何本かに分けて送っても、全部は読まれませんでした。最後に1本にまとめて渡しましたが、はじめから短く1本にしておくべきでした。
数字について
この記事には、成果の数字を載せていません。書いたのは、渡したところまでです。やめるときに確かめることは、SNS運用代行の相場の3章にも書いています。
5. やめる前に確かめておくとよいこと
SNSの運用を外に頼んでいる人が、やめると決める前に確かめておくとよいことを3つ挙げます。
自分たちで回せる型は、手元にありますか
やめた翌週から、週に何分で何をするかが、書いてあるでしょうか。やらなくていいことまで決まっているでしょうか。
契約が切れても動き続けるものの、止める日と止める人は決まっていますか
自動応答や予約投稿、外部のサービスに登録した情報は、契約が切れても動き続けることがあります。誰がいつ止めるのかを、先に決めておきます。
預けているログインは、誰がいつパスワードを変えて返しますか
返したことになるのは、お店がパスワードを変えたときです。いつまでに、誰が、変更するのかを決めておきます。
頼み方は3つあります
やめたあとに残す型づくりは、あさぎに頼む以外に、自分たちで進める方法や、専門の会社に頼む方法でも形にできます。比べると次のとおりです。
| あさぎに頼む | 自力で進める(AIも使って) | 専門の会社に頼む | |
|---|---|---|---|
| 向いている会社 | いずれ社内で回したい。やめたあとの型まで欲しい | 担当の時間を、週に数時間は取れる | 投稿の数や撮影を、まとめて任せたい |
| よいところ | やめたあとも社内で回る型を、一緒に作る | 費用がいちばん小さい。やり方が社内に残る | 人数と体制があり、一度に頼める |
| 気をつけること | 引き受けられる件数に限りがある | 担当が忙しくなると止まりやすい。AIが作るのは下書きまでで、確かめるのは人 | 費用が大きくなりやすい。最低契約期間や初期費用がつくことがある。やめるときの条件やアカウントの戻し方は、契約の前に聞いておく |
| 費用の目安 | 月10時間・5万円から(税別) | 道具代は月0円から数千円(Claude Proは月20ドル・税別)。いちばん大きいのは担当する人の時間 | 月5万〜25万円ほど。初期費用が10万円前後かかる会社や、最低6か月の契約の会社もある |
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